セリ、ナズナ、五行、ハコベラ、ホトケノザ、・・・

春の七草

数年前から初詣に出かけても、着物姿の人をほとんど見かけなくなりました。今年も二組の男女といっても中年のご婦人だろう人を見ただけです。SEO対策という仕事をしていても、正月ぐらいは外出する私。他人の人はというと全くの普段着で、暦と初詣だけがお正月だなと実感させてくれる程度でした。元旦の朝、家族全員が集まり膳を囲み「新年明けましておめでとうございます」と家長に挨拶をし、お屠蘇を頂戴すると言う習慣があります。多くは日本酒を用いてお祝いをしますが、その原点は中国の文化が流入して定着したそうです。

屠蘇を辞書を見ると「正月の祝儀に用いる酒の一種。味醂を台として、山椒、肉柱、桔梗、大黄など漢方を加えたもの。中国から伝わったもので、平安時代初期には正月の薬酒として広く用いられた。中国では蘇と呼ばれた鬼をほふるということを意味しており、日本では健康を祝うための祝儀用として使われている」とあります。ほふる・・とはこの場合は敵を打ち負かすと言う意味ですから、病気など悪事災難や邪気を払って健やかな一年でありますようにと祈念してのことです。セリ、ナズナ、五行、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロは春の七草がゆとして、今年も七日に食した人も多いことでしょう。

これも中国の故事からきたものですが、お正月にお餅を食べ過ぎ、さらにお節料理ですませる時期が終わり、野菜不足になった身体に野菜をを供給する意味から広がった風習と言われています。節分には厄払いで豆まきをし鬼を追い出して福を呼び込み、年令分の豆を食べると縁起がいいと言われています。これもその昔、豆は貴重ななタンパク源でもあり、季節や年の変わり目の食と行事を絡ませた風習です。

その他、土用の丑の日にはうなぎを食べる風習も、夏の暑さで食欲もなくなり、精をつけて暑さ厳しい夏を乗り切るという独特の風習です。秋の七草も山はぎ、ススキ、くず、なでしこ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウなどを煎じて飲む風習です。これも秋から冬にかけて気温が下がりはじめ、呼吸器系や皮膚、消化器系へのダメージを予防するために、煎じて飲用する薬草(漢方)として用いたのです。

また冬至にかぼちゃを食べる風習も、夏の野菜ですが保存がきき、ビタミン類が豊富なために野菜の種類の少ない冬の栄養補給として食されるようになったのでしょう。このように日本には、季節、食、予防と三つ巴というべき深い関わりのある文化風習を持っています。これらの習慣を今の人が実行しても、食生活や生活環境が変わったため、大きな意味はないと思われます。がしかし、一年を通じて風習として残すことに大きな意味があります。現在は春の七草であれ、秋の七草であれ年中手にすることができます。ウナギなどは世界中から輸入している時代です。しかし季節の変わり目に自らの健康をちょっと顧みることは、非常に重要なことです。

昔は食料や種類も少なく栄養補給など体調維持のためだったのですが、反対に今は季節感もなく、旬もない時代で年中動物性たんぱくや動物性脂肪を中心にした乱れた食生活に、時々反省をするために十分な価値があります。医療の発達によって現代人が大きな勘違いをしているのは、心身ともにガタガになるまでがんばり、病気になれば医者にかかろうという「医療依存症」になっているということです。私たちは健康管理といっても、サラリーマンや自営の人でまじめな人でも年に一回の健康診断を受ける程度。体調不良を感じなければ一度も受けない人もたくさんいます。昔は健康診断などなかったため、こういった風習が結構意識付けとして有効に働いたのかもしれません。

参考サイト:農林水産省/食事バランスガイド